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胃腸病の食餌(その2)
西村 きみ
1
1荻窪病院
pp.62-65
発行日 1955年9月15日
Published Date 1955/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909918
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胃アトニー症(胃弛緩症)
胃の機能が弛緩して,消化液の分泌や胃筋運動が低下しているので,栄養価の高い食物をなるべく多く与えて全身栄養をよくし,身体を強壮にしながら,胃筋をも強壮にする様にいたします。食物の胃中の消化時間が長くなりがちで4時間前後を要すると云われていますから,衰弱し弛緩した胃筋を刺激する目的で,香辛性の食品を適量用いて胃液の分泌や消化運動を盛にさせます。食物としては,魚肉は肪脂の少いものを刺身,煮魚,焼魚等とし.肉類は軟かい肉を(犢肉,鶏肉,さゝみ等)煮たり,焼いて与えます。穀類,豆類は粉末状にするとか,熟煮して潰したり,裏漉しにいたします。飲料はアルコール飲料の少量と,牛乳,スープ,葛湯は,少しづつ分けて与えますが,炭酸水は禁じます。野菜類は皮をむいて熟煮するとか,潰したり,裏漉しにし,果物は皮をむいて摺りおろすとか,煮て与えますが,時には繊維質の柔いものを刺激食として与える事も有効な場合があります。腸詰,塩蔵肉,塩魚,脂肪の多い肉や魚は禁じます。もう一つ肝要な事は食後1〜2時間は安静にする事で,横臥する場合は,右横下の臥位を保つ事であります。
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