みんなのまど
神奈川県立公衆衛生看護学院
pp.21-29
発行日 1957年6月10日
Published Date 1957/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201432
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桜ケ丘の名にふさわしく,桜が,雪のように降りそそぐ並木道を,息をはずませながら,登つて行つた1年前…….南は九州から,北は北海道迄,それぞれの地方から集合した受験生は,多勢の強敵を意識しながら,試験場に臨んだのでした.緊張した試験場の雰囲気の中で,学院長先生の挨拶.その温かい言葉を聞いただけでも,どうしても,この学院に入りたい!と,誰もが,思つたことでした。32名選ばれて,夢と希望を持つて,入学したあの日…….
大きく開かれた窓から,桜の花びらが舞い,コバルト色の空も,暖かい太陽の光も,みんな私達を,祝福しているようでした.その時から,私達の,1年間の学院生活が始まつたわけですが,小高い丘の上の学院と,すぐ近くの,寄宿舎のまわりは,四季折々の花がつきません.入学時の桜花爛漫,続いてつゝじ,あじさい,五月雨に色のあせる頃,古典的な芙蓉の淡い色が,夢を運ぶのです.裏庭の方では,アカシヤが白い花をつけ,窓辺に手を差しのべたかのようです.
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