特集 入院患者の心理を探る—病みと不安
事例研究/死への不安と恐れを表現した進行性鼻壊疽患者の看護
江川 万千代
1
,
半田 邦子
1
,
菊永 英子
1
1国立福岡中央病院耳鼻科病棟
pp.894-897
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922840
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はじめに
進行性鼻壊疽は,何万人に1人というまれな疾患である.Y氏は,鼻壊疽の中でも多様なる病相を呈し,しかも全身症状の強いタイプのウェゲナー症候群であった.症状の悪化に伴う数多くの症状と苦痛,そして家族からの援助もうすれ,死への不安と恐れを抱きながら,攻撃的,悲観的かつ絶望的な状態で死の転帰をとった.
我々はY氏に対し懸命な援助を行ったが,それにもかかわらず患者は満足感を得ることができなかった.一方,我々看護婦も,看護の限界を感じ,Y氏の死後,Y氏との個人的かかわりを振り返ってみたいと,各自レポートを作成し,グループで検討した.その結果を報告する.
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