CPC
進行性鼻壊疽の1剖検例
藤原 久郎
1
1国立長崎中央病院耳鼻咽喉科
pp.401-404
発行日 1989年5月20日
Published Date 1989/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200351
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進行性鼻壊疽(進行性壊疽性鼻炎)の各称は臨床的に類似した複数の疾患の臨床的総称にすぎない。壊死を伴う肉芽組織が主体であるが,異型細胞浸潤もみられやすいことから炎症か腫瘍かで迷うことが多く,malignantgranuloma, lethal midline granulomaといった病名に,診断する病理側の苦悩が表わされている。実に多くの病名がつけられているが,切替1)はその分類を行い,①細網肉腫,②Wegener肉芽腫症,③悪性肉芽腫の三つに分け,三番目の悪性肉芽腫の解明を課題とした。種々の概念が導入されたが,渡部ら2)はその発生には網内系のhistiocyteが関与しており,malignant his—tiocytosisとして報告している。1977年,砂金ら3)の発表した鼻細網肉腫の免疫学的手技を用いたマーカー検索は悪性肉芽腫に対する一つの突破口をひらいたものであった。鼻における壊疽性鼻炎と診断されたケースで,腫大した頸部リンパ節で細網肉腫と診断され,しかも異型細胞表面マーカーの検索で,鼻,リンパ節ともT cellを証明し,T cellの関与を強く示唆したのである。以来,鼻性T cell lymphomaとしての報告が続いているが,われわれもその検索を行う機会を得たので報告する。
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