セミナールーム・心療内科
自律訓練法(Ⅲ)—自己実現への道
石田 行仁
1
1専売公社東京病院
pp.62-63
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914607
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解放現象の出現
さきに,自律訓練法(A.T.)により,高位神経中枢の活動様式が非常に自由になっているので,第二信号系の働きかけが,身体面に素直に表現されるのだと述べました。胃の運動,胃液分泌の働き方が「ことば」通りになるのは,高位中枢の神経細胞群の結合の動態が,「ことば」に相当するからです。逆にいえば,「ことば」通りに神経細胞群が結びつくのを邪魔する神経細胞群の「働き」がないことになります。極端にいえば,神経細胞は働きをやめてしまっています。
このような状態に患者がなったとき,まるで頭の中に何もないような状態になってしまいます。「今,何か頭に浮んだことがあればお話しください」と質問しても,「からっぽで何もありません」と答えてきます。
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