文学
文学はどこに?
平山 城児
1
1立教大学文学部
pp.106-107
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913671
- 有料閲覧
- 文献概要
すぐれた芸術に出あったとき,親しい友と再会したとき,美しい自然の中に自分をおいたとき……,これらは,人生の中でも,もっとも混じり気のない感動を味わえるときだろう。すぐれた書物を読みおえたときには,自分が別世界へつれさられたような気がする。そんなにすばらしい作品というものは,そうめったには現われない。月々かぞえきれないほどの新刊書が発刊されているうえ私自身が読む本の数は高が知れている。そのせいかも知れないが,近頃よむ本の中で,なかなか心にふれてくれるものがない。あまり気に染まぬ小説を,この貴重な紙面をかりてただつまらないと書いてみても,所詮はむだなことであろう。そんなわけで,今回は,小説以外の文章をとりあげて,あることを語ってみたいと思う。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.