講座
病院給食の考え方(2)
原 素行
1
1都立広尾病院
pp.34-39
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909711
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
☆…病院栄養士という意味の働き方…☆
病院栄養士という言葉はどこにもない。私が説明上,用いている暫定的の言葉である。これは栄養学校を卒業して栄養士の資格を取つただけで病院の栄養士は勤まらないぞという表現である。又近く栄養学校の課程に病人栄養とか食事療法とかを加えられることになるが,それだけでも不充分だという意志表示である。それは「病院とは……」更に「近代病院とは……」ということに深い理解のある人でなければ,病院では満足に働けないということである。いうならば,コンダクターの指揮棒の動きで,病人の取扱い方にハーモニーを出せる人が必要だということになる。更に調理の腕前が達者であつてほしいし,献立作製にもバライテーを持つ経験者でなければ,理論倒れになつて実用に適しない。私の仮称病院栄養士よりも食事士というのがいいという論者は少くはない。これはポストグラヂユエートの現場教育を受けて資格を与えられるのが理想的であろうと思う。栄養士のことをヌトリツシアンと英語でいうが,アメリカの病院ではヌトリツシアンを使つているのではなく,ダイアテツシアンが働いている。ダイアテツシアンは正に食事士のことである。この頃,我が国でも栄養士が病院でインターンを勤める傾向ができてきて,国立病院に採用される予定の栄養士が6カ月の無給のインターンを勤めている。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.