--------------------
病院給食管理覚え書—本稿は福井県主催病院給食講習会講義の概要である
原 素行
1,2
1前都立広尾病院
2現病院管理研修所
pp.250-260
発行日 1958年4月1日
Published Date 1958/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201343
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院の業務が漸次分化分業をされて,夫々の専門職種が,これを担当するようになつて,著しく科学性を発揮し得る体系が出来たのは,学問の実際化に由るものである。然しながら,病院業務の目標は,1人1人の患者に集中される筈である以上,専門分化された夫々の分業部分が独立部門という名目で独走することは許さるべきことではない。即ち「分業」と「綜合」との二つの相が組み合わされて,はじめて病院の目的が達成されるのである。この組み合せ方が各部門のチームウオークの進め方である。近代の科学は,このように高度に分化して,その内容を高め,またそれが有機体のように綜合統制されて,実用効果を表わしている。筆者は,口癖のようにこのようなことを云い,これを病院管理の要諦と心得て,その組織化に力を入れた。
病院給食業務も亦,この範疇を脱することは許され得ないが,更に病院給食が諸種の科学を識り込まれて,はじめて完全なる成立を見るものであるから,医師たる病院管理者の関心が,ここに集り易いのは当然なことであろう。本稿は,病院給食業務を重要なる診療補助業務としての立場を主眼として,その体系を整えるためのまとめの記述とした。敢て新規の提案や新機軸を出す意図はない。只現在未完成交響楽として好評ある病院給食を,科学の基盤にのせて,更に揺ぎなきものとするために,いくらかの盲点に触れて,その改善についての進言をするつもりである。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.