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日本の病院給食の推移—特に戦後における病院給食の著しい向上について
原 素行
1,2,3
1元,都立広尾病院
2現,病院管理研修所
3早稲田大学診療所
pp.533-536
発行日 1959年7月1日
Published Date 1959/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201536
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日本における病院給食の諸問題とその推移とについては,これを病院給食自身の単独なる問題として論議し,或は評価することは至難の業である。先ず,日本の病院における給食が,種々の事情に左右されて,円満なる発達が不当に阻害されていたことを銘記しておく必要があろう。そして,このような不幸なる病院給食の状況を知る者は,今日の病院給食の高姿勢を見て,正に隔世の感ありとして,刮目に価すというのは誠に無理からぬことである。従来病院の給食を左右して,病院給食を圧迫した因子として,次ぎの5つの事柄を指摘することが出来よう。
①日本の病院が,診療所的性格から発達したため,その主動力が直接の診療面におかれ,診療補助業務に対する関心が薄かつた。従つて,患者の食餌についても,理解に乏しく,仮令,生理学乃至生化学が人体栄養を重視し,これを国民生活への啓蒙の必要ありとしながら,病院側はこれを等閑視していた。
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