連載 悩めることも才能だ!―宮子あずさのお悩み外来⑪
患者さんの思いを代弁したいのに……
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.1032-1033
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100663
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- 文献概要
ある患者さんとその主治医の間で板挟みになって困っています.その方は多くの慢性病をもつ70代の女性.以前から口数の少ない方で,特に医師の前ではほとんど話をしません.それでもこの2,3年の間に身体の衰えが進み,看護師には身体的な不調や不安を口にするようになりました.たとえば「血圧が高いからと薬を変えてくれたんだけれども,めまいが出てきた気がする.薬のせいでしょうか?」「息苦しくて目覚めてしまうんだけど,単なる風邪なのか,肺炎を起こしているのか,心配でたまりません」.このような場合でも,医師には決して言わず,私たちにだけ話すのです.聞いた看護師は,その不安を医師に伝えるのですが,医師が本人に確認すると煮え切らない返答をするので,結局はそのままになってしまいます.彼女は彼女で,私たちがうまく医師を促せないことにいらだっていて,双方から冷たい視線を感じます.「立つ瀬がない」とはこのこと.どのようにすれば,患者さんの気持ちをうまく代弁し,関係を調整できるのでしょうか.(31歳・女性・外来)
看護師は患者さんの代弁者であるべきなのでしょうか?
あなたは「弱者である患者さんは,強者である医師に本当の思いを伝えられないものだ.だからその思いを聞き,医師にそれを代弁するのは看護師の仕事なのだ」と考えておられるのですね.確かにこれは以前から看護師に求められてきた役割で,私もそれを受け入れている部分もあります.
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