ベッドサイドの看護
医療における患児の自己決定権—小児の代弁者になるのはだれか
田河内 ツル子
1
1国立小児病院看護部
pp.721-726
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918716
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小児看護の中での疑問
私が看護婦の資格を得たばかりのころ,勤務したさる国立病院の小児科病棟では,当時の我が国で全国的に取り上げられ,実施され始めていた新しい看護体制を目指していろいろな試みがなされていた.
そのころ,全くの駆け出しだった私は,指示された目標に向かってなんの迷いもなく進み,‘完全看護’とよばれたその新しい看護の在り方を最上のものであると確信し,付き添いを廃止し,病室を改装し,一般的な保育をも含む疾病小児の世話のすべてを看護婦自らの手で行うという方式が,小児自身にとって最善のものであると信じて疑わなかった.そして,このような看護の趨勢は,私たち看護婦に‘小児の生活のすべてが自分たちの手にゆだねられている’という責任感と誇りをもたせ,それが毎日の過重な労働に耐える心の支えにもなっていたように思う.
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