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誰にも言えないしどこで相談すればいいかわからない
今ではゴールデンタイムでも普通に放送されている生理用ナプキンのCMですが,私が小学生の頃だったでしょうか,テレビで初めて放映されたときに社会に与えた衝撃は相当なものだったようです.それまでは,生理のことを話題にするのは恥ずかしいタブーと考えられていたからです.最近増えてきた「尿取りパッド」のCMも同様で,ようやく排尿障害に多くの女性が悩んでいることが知られるようになりました.しかし,尿漏れに悩みつつ,恥ずかしくて声を上げられない女性はまだまだ多いようです.婦人科検診で,ひどい外陰部のかぶれに気づいて尋ねると,「尿漏れで生理用ナプキンを常時つけているが,かぶれて困っている」とようやく悩みを打ち明けられる方もいまだに多くいらっしゃいます.今回は女性に多い排尿の悩みについて考えてみましょう.
なぜ排尿障害は起こるのか?
まずは膀胱と排尿の解剖・生理を復習しましょう.膀胱は,恥骨下の腹壁に沿って子宮の前に存在するゴム風船のような臓器です.風船本体のゴムは縦横に層をなす平滑筋,風船の吹き口が尿道,吹き口を閉める栓のようなものが尿道括約筋に相当すると考えてください.膀胱壁の筋を緩めて尿道括約筋を閉じると尿は貯まり,逆に膀胱壁の筋を収縮させて尿道括約筋を緩めると排尿する,というように調節されており,これらの筋の収縮・弛緩は自律神経(交感神経・副交感神経)に支配されています.「緊張すると(交感神経優位なので)トイレが近くなる」「寝ている間は(副交感神経優位なので)膀胱容量が増して,朝まで尿を貯めていられる」のが普通です.この神経刺激や筋収縮に異常が起こったとき,または周囲からの圧迫などが起こったときに尿失禁や頻尿などの排尿障害が起こるのです.
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