Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「女になる」—性的マイノリティの代弁者・「中川未悠」という生き方
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.793
発行日 2018年8月10日
Published Date 2018/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201401
- 有料閲覧
- 文献概要
「女になる」(監督/田中幸夫)は,神戸の性同一性障害の大学生・中川未悠の性別適合手術前後の時間にフォーカスしたドキュメンタリー.子供の頃から女性になることを夢見ていた未悠(みゆ)は,高校時代に家族にカミングアウトし,大学入学後に女装を開始する.女性として社会に出ることをめざして,大学3回生の春休みに性別適合手術を受ける.
「爽やかLGBTsドキュメンタリー」というサブタイトルをつけた本作は,トランスジェンダー仲良し3人組の十数分にわたるガールズトークから始まる.全体尺数73分ということを考えれば,けっこうな時間の割き方だ.おそらくこれはガールズトークへの強い憧れ,情念の賜物.そうだとしても,このシーンから自身の不安や思いの出力先・共有先としての仲間(ピア)の重要性が浮き上がってくる.男の子時代の幼少期の写真を互いに見せ合い,彼氏やセックスの話ができるのも同じ境遇のピアゆえのこと.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.