JJM誌上講座・20 効果的な専門職教育のために
教育の方法(その1)
平野 朝久
1
1東京学芸大学教育学部
pp.934-935
発行日 1988年11月25日
Published Date 1988/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207512
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教育は,本来個を対象としたものであり,個が生きる教育にならなければならないのは当然のことである。ところが現実には,大勢の人たちを対象とすることが多いために,この本来のあり方が忘れられがちである。実は,そこから様々な問題が生じることになるのである。個を対象とするということは,必ずしも個別化された指導(学習)形態を意味しない。逆に,個別化された形態をとっても,個が無視されることがありうる。
個を対象とするとか個が生きるということは,教育は,一人ひとりのためにあるということである。このことはまた「はじめに生徒ありき」ということでもある。すなわち,教育は具体的な特定の生徒(の事実)から出発し,その生徒が十全な成長をするにはどんな援助をすればよいかを考え,実施されるのである。けっして「はじめに内容ありき」とか,ましてや「はじめに教師ありき」であってはならない。それでは,内容をこなすため,あるいは教師の職務を果たすために生徒が存在することになってしまい,本末転倒である。
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