連載 源流への旅
子産み子育て考・17
誕生—地域の承認
宮里 和子
1
,
鎌田 久子
2
,
菅沼 ひろ子
3
,
末光 裕子
4
,
坂倉 啓夫
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2成城大学文芸学部(民俗学)
3聖母病院分娩室
4東京工戸川区・教育相談室
pp.722-725
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206942
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§はじめに
今日では,出産は夫と妻の私事としての面のみ強調されて取り扱われることが多い。もちろん,夫の家族,妻の家族にとっても,血縁者が一人ふえるという喜びはあるが,特に都市では,夫婦の子供としての存在が強い。しかし各地に伝承される産育習俗の中には,単に夫婦,家族の子供というだけでなく,ムラの子供,地域の仲間が一人ふえるという意識をもって出産を迎える習俗もある。これらの習俗からは,子供がこれから帰属する共同体側からの子供観を知ることができる。
今回は生まれてくる子供を地域社会がどのようにして迎え入れ,はぐくんでいったのかを探ってみたい。
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