連載 源流への旅
子産み子育て考・10
妊娠中の性
宮里 和子
1
,
坂倉 啓夫
,
菅沼 ひろ子
2
,
鎌田 久子
3
,
末光 裕子
4
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2聖母病院分娩室
3成城大学芸学部(民俗学)
4東京江戸川区・教育相談室
pp.80-83
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206803
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§はじめに
妊産婦を対象とした雑誌の創刊号に「いいのかな妊娠中のSEX?」という記事があった。「なんとなくだけど,いけないんじゃないかと思う。いいのかな?」という表現にみられるように,そもそも話題にしにくい,でも,切実な問題として妊娠中のセックスは重要なテーマである。今回は,習俗の上でどのように考えられ,どのように伝承されてきたのかを取り上げた。
日本語の「性」には,狭義,広義の意味がある。英語ではそれぞれの意味によりセックス,セクシュアリティ,ジェンダーと区別がされている。我妻洋氏によれば,セックスは性器結合的な性,ジェンダーは一口にいうと男らしさと女らしさをさし,社会的に決められた男性と女性の役割や行動様式や個人の心理学的特徴を意味する。セクシュアリティは男と女の生物学的特徴についての人間の自覚と,こうした特徴に対する人問の心理的反応である1)。
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