連載 源流への旅
子産み子育て考・11
胎教
末光 裕子
1
,
坂倉 啓夫
,
菅沼 ひろ子
2
,
鎌田 久子
3
,
宮里 和子
4
1東京江戸川区・教育相談室
2聖母病院分娩室
3成城大学文芸学部(民俗学)
4国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.167-171
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206823
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§はじめに
胎教という言葉は,今日どんなふうに受けとめられているであろうか。音楽好きな子にしたいので,妊婦が一生懸命音楽を聞こうとするといった,何やら,教育ママの予備軍が,「よい子」を産みたいとあれこれ意図的に行なう行動のようなニュアンスもあるかもしれない。「こんな子に育ってほしい」と生まれてくる子に託した親の夢を実現するために,妊婦が積極的にとる諸行動とでもいえるだろうか。
しかし,その根本にあるものは,健康な子を産むために,できるだけ望ましい形で妊娠中をすごそうとする妊婦の思いではないだろうか。10か月という長い月日,いったいどんな子が生まれてくるだろうかと,期待と不安に揺れながら,胎内の子に思いをめぐらさない妊婦はいないだろう。妊婦が生まれてくる子に,母親としての最初の気づかいが,胎教の原点ではないだろうか。
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