連載 源流への旅
子産み子育て考・18
分娩意識の変遷—産むお産,産ませてもらうお産
末光 裕子
1
,
宮里 和子
2
,
鎌田 久子
3
,
坂倉 啓夫
,
菅沼 ひろ子
4
1東京江戸川区・教育相談室
2国立公衆衛生院衛生看護学部
3成城大学文芸学部(民俗学)
4聖母病院分娩室
pp.804-808
発行日 1986年9月25日
Published Date 1986/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206960
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§はじめに
最近,新聞をはじめとしたマスコミで,出産をとり扱ったテーマのものがふえてきているように思うのは,この連載にかかわっているので,そういうものに目がいきやすいというだけではないような気がする。
その中でも,ミセス聖子の妊娠についての報道は,やや飛躍したいい方をすれば,現代の一つの象徴的でき事として興味深い。いわゆるアイドル・スターが「妊婦」である自分や自分の妊娠のことを堂々と公開するということは,かつてなかったことではないだろうか。アイドル性とかスター性というものは,「妊娠」ということと相反するものを持っていたはずではなかろうか。また,妊娠中にレコーディングしたアルバムが,ヒット・チャートをにぎわしているともいわれる。アイドルの妊娠が異和感なく受け入れられているということは,軽薄短小風にいうならば,今は「産むことが流行っている」時代ではないだろうか。
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