連載 源流への旅
子産み子育て考・7
妊婦の労働と運動
宮里 和子
1
,
鎌田 久子
2
,
坂倉 啓夫
,
末光 裕子
3
,
菅沼 ひろ子
4
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2成城大学文芸学部(民俗学)
3教育相談室
4聖母病院分娩室
pp.889-892
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206744
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§はじめに
産科学関係の成書を繙いても,妊婦の運動や動静に関して,科学的根拠に基づいた問題解決や保健指導に役立つと思われる内容の記述は少ないように思われる。このことは,母体に起こる妊娠性の変化や胎児の発育が,妊婦の動静や運動の程度,種類などによって,どのような影響を受けるのかについて,明らかにされていないということになろう。産科学が病態の解明や治療に主力が置かれた結果,正常経過に対する科学的アプローチを欠いているように思われる。
最近,一般の人々の間でも「健康づくり」が唱えられるようになり,健康に対する発想の転換が求められている。妊婦の保健管理の面でも「体力づくり」「妊婦体操」「妊婦水泳」などを通して積極的な健康志向が広まっている。そこで今回は,先人が安産を願い,日常の家事労働の中で出産に備えてどのように心身の準備をしたのであろうか,また,それらの行為の底に潜む先人の物の考え方,生き方,知恵を探ってみたい。
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