連載 母子栄養1ページレッスン【新連載】
栄養学の実践から
西村 薫子
1
1自治医科大学附属病院栄養部
pp.363
発行日 1985年4月25日
Published Date 1985/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206634
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1年間この欄を担当することになった。ついてはこのシリーズの目標を立てなければならない。助産婦諸姉とのお付き合いは,東京大学医学部附属助産婦学校や聖母助産婦学校で「母子の栄養」の時間を担当させていただくようになってからのことで,かれこれ20年近くにもなる。そんな永いお付き合いのなかから,今私にできることは何だろうと考えてみたが,結局,諸姉の保健指導の場における「栄養学の実践の問題」ということに落ち着きそうである。
「やはりテーマは以前と少しも変わっていないわ!」と思われるような気もするが,同じテーマでも方法論は全く違う,と私は考えている。というのは,日本の栄養学は,欠乏の問題をとり上げていた時代が長く続き,しかもそれは,口からとり入れる食べ物の側面からの研究が多く,食品栄養学・食物栄養学が脚光を浴びる時代で,食品の栄養成分が中心であったように思う。したがって,保健指導の場でも,「蛋白質は卵や魚肉に多い」とか「レモンはビタミンCの豊庫」といった指導がなされ,「肉やにんじんに栄養がある」といったナンセンスな言葉さえ使われた。
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