連載 母子栄養1ページレッスン
妊婦と食塩(1)—適塩と美味しさ
西村 薫子
1
1自治医科大学附属病院栄養部
pp.737
発行日 1985年8月25日
Published Date 1985/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206711
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妊婦のNa制限は,エネルギー制限と同様,保健指導の一般常識にさえなっているように思う。妊娠中毒症による浮腫はNa代謝失調によって発症するものと考えられるし,高血圧はNa制限によって改善されるといわれている。このようなことから,妊婦にNa制限をすることが中毒症の予防につながるとされているわけである。
一方,健常妊婦に必要以上のNa制限をすることは,かえって生体内のNa再吸収メカニズムにストレスをかけることになり,結果的にマイナス面が多いともいわれている。この現象は,正常妊娠経過中の糸球体濾過率(GFR)は非妊時に比べて50%増になっており,Na摂取量が少ないと,尿細管から再吸収してその低下を予防しようとするメカニズムが働き,結果的にそれがストレスになるのだと説明されている。
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