連載 母子栄養1ページレッスン
妊婦栄養指導計画(2)
西村 薫子
1
1自治医科大学附属病院栄養部
pp.181
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206827
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最近,食物の専門誌でこんな記事を読んだ。筆者は,33歳,身長162cm,体重55kg(妊娠6か月当時)で,座業に従事しているという。10年めの出産と書かれているので経産婦なのだろう。「妊娠とお産は母親に似ると昔からいわれ,安産か難産かは遺伝や体質によるところが大きい。また胎児そのものは,"神のみぞ知る"で自分ではどうにもならない不思議な物体である。うまく育つか否かは天と運にまかすより仕方がないが,自分で最善の状態にもってゆく努力の一つが栄養の摂り方である。私がお世話になった産科の医師は,食べ過ぎによる妊婦の太り過ぎをもっとも酷しくチェックした。診察中にそのために厳しく叱られている人を見ていたことから,私は医師に叱られるのがこわく,一生懸命に食事制限をしたというのが正直なところだ。それが功を奏してか,10か月の最高体重増加を8.5kgに抑えて安産。母子とも元気で,しかも母乳はあふれるほど出た。担当の医師も,"こういうケースもあるんですねえ"と驚くほどだった」
続いて筆者はこうも書いている。「生れる子供の健康と生活力は母親の胎内にいるときから始まり,その良否がその子の将来にわたる健康を左右するという。ならば,やはり栄養の摂り方にはひとり身のとき以上に気を配らざるをえない。
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