連載 母子栄養1ページレッスン
エネルギー量のきめ方、とり方
西村 薫子
1
1自治医科大学附属病院栄養部室
pp.553
発行日 1985年6月25日
Published Date 1985/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206673
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- 文献概要
「適正体重をキープすること」は,今や小児期から中高年期まで健康管理の基本的要素とされている。病態時をのぞいて,体重の増減は摂取エネルギー量と消費エネルギー量との差によって生じるから,エネルギー源としての食物量をどのくらいにするかを,個人の体格や生活活動量などから算出しておかなければならない。
日本人の栄養所要量(本誌30ページ参照)の数値は安全を見込んだ平均的なものだから,個別のケアでは参考程度の役割しか演じてくれない。妊娠経過中の体重管理とエネルギー源摂取量について助言をするときは,所要量の数値(前期1,950kcal/日,後期2,150kcal/日,授乳婦2,500kcal/日)を一律に指示することの問題点を認識しておく必要がある。この数値が,非妊時体重52kg(身長157cm),妊娠全期間中の体重増加量10〜12kg(妊娠第5か月末3.8kg,10か月末11.9kg)を根拠として算出されているからで,保健指導に当たっては,対象妊婦の非妊時の体格,生活活動量などを加味して適正な体重増加を維持できるような量を指示しなければならない。
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