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はじめに—回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価
回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価は2008年より診療報酬に導入された.それをストラクチャー(S:構造),プロセス(P:過程),アウトカムO:(転帰)に分類して整理すると(図1),2008年には日常生活機能評価(看護必要度B)で規定される重度患者受け入れ(P)とその改善,在宅復帰率(O)が入院料要件に組み入れられた.急性期病院との地域連携パス(P)も評価された.2010年には1日6単位以上や休日のリハビリテーション提供に対する加算(P)が導入された1).2012年には入院料1の看護師配置は15:1から13:1となり(S),重症度・看護必要度A項目(P)が入院料1の要件となった.2014年には医師(2000年には専従要件)と社会福祉士専従という体制強化加算(S)が追加され,上位入院料では医師・看護師・看護補助者・各療法士・社会福祉士の重装備の専従配置が設定された2).2016年にはA項目が見直され,実績指数という独自のアウトカム指標が導入された.2018年には管理栄養士の専任配置(S)が努力義務となった.
実績指数は運動Functional Independance Measure(FIM)効率(利得/在院日数)を疾患ごとの算定可能な最大在院日数で補正した係数(Σ運動FIM利得/Σ(在院日数/疾患ごとの算定上限日数))で,疾患構成の異なる病院間のアウトカム比較が可能となる3,4).2016年度改定では疾患別リハビリテーション6単位以上の包括基準として実績指数が27未満,2018年に入院料1では37以上,入院料3,5では30以上が設定された.実績指数(症例ごとの修正FIM効率として示す)の中央値は導入前の2015年から2018年にかけて,23.4から37.5と著明に増加した(図2).入院時運動FIMは2015年から2018年にかけて51から46と6点低下した.退院時は75から77と2点のみの増加,利得は13から21と8点増加,回復期リハビリテーション転棟時の発症後日数は24日から21日と3日短縮,在院日数は69日から63日と6日短縮した.よって実績指数の顕著な増加の主因は入院時FIM低下と考えられ,ダウンコーディングが懸念される5,6).届け出によるアウトカム評価の限界を示すものであろう.
医療の質のプロセスでは数値化が難しい要素が多い(図1).適正な臨床評価を行う体制や教育,リハビリテーションケア介入の質,リハビリテーション時間以外の活動性の確保,チームとしての共有と分担などは,現場での確認が適切である.第三者評価の意義はアウトカムに到るプロセスの妥当性の担保とその改善にあると考えられる.
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