Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
内村祐之の『わが歩みし精神医学の道』—病の体験を通じての成長
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.496
発行日 2019年5月10日
Published Date 2019/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201646
- 有料閲覧
- 文献概要
太平洋戦争当時,東京帝国大学の教授と松沢病院の院長を兼務していた精神科医の内村祐之は,自伝『わが歩みし精神医学の道』(みすず書房)の中で,空襲を契機に難病が快癒したという女性患者の事例を伝えている.
その女性は,22歳の時に受けた虫垂炎手術の予後が悪く,前後5回にわたる手術を受けて東大病院に5年間入院するなど,ほとんど寝たきりの状態で過ごしていた.しかし,昭和20年4月25日夜の大空襲で自宅付近が火の海となったため,妹の介助のもとに辛うじて数十メートルを歩いて逃げることになる.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.