病院図書館
—内村祐之著—「精神医学の基本問題」
西丸 四方
1
1愛知医科大学
pp.108
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204667
- 有料閲覧
- 文献概要
精神医学の歴史的な鳥瞰をふまえて
18章350ページにわたる本書は一昨年の夏から今春まで毎号,雑誌"精神医学"に連載されたものをまとめたものである.構造論といっても症状の構造だけでなく精神障害全体について,19世紀の中ごろから初めて形を整えてきた学問的‘精神’医学研究の今日までの発展を,各学説の主唱者を歴史的に配列しつつ,各説の内容とその批判を非常に正確に,かつ要を得て述べたものである.
昔出たKraepelinのHundertJahre Psychiatrieは主として19世紀の発展を記してあるが,ごく簡単なものにすぎない.近ごろ出たMillonの"精神病理学諸説"は各学者の所説をそのまま引用しただけで批判はなく,学者の選択も英米的にかたよっている.Kolleの"大神経医"3冊は各学者のエピゴーネたちがその師をたたえたもののコングロメラートで,体系は全くない.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.