巻頭言
内村祐之先生の言葉に寄せて
土居 健郎
1
1国際基督教大学
pp.1260-1261
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203186
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以下に記すのは,去る七月十八日午後,私が下落合の御自宅をお訪ねした時,内村先生がお話し下さった言葉の数々である。私はこの春東大をやめてから先生のところに御挨拶にうかがいたいと思っていたが,その頃御気分がすぐれないとお聞きしていたし,私もいろいろ用事が重なって,とうとうこの日になってしまったのである。
先生はこの日椅子に坐り上体を前にのりだすようにして前方を見つめながらお話しになった。お顔がいくらか腫れぼったい感じがしたし,話のテンポも以前に比べておそかったが,一語一語は極めて明瞭で,話されることがどれもぴたっときまっていた。私ははじめ奥様から,話をすると先生がお疲れになるので,面会は10分ほどにしてほしいと注意されていた。しかし先生が話し続けられたので私は10分では立ち上れなかった。きっとその倍の20分はお邪魔したのではないかと思う。
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