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1972年に策定された「難病対策要綱」では,難病は,①原因不明,治療方針未確定であり,かつ,後遺症を残す恐れが少なくない疾病,②経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず,介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く,また精神的にも負担が大きい疾病,と定義されており,この時すでに,医療だけではなく,介護,福祉の支援にも目が向けられている.2015年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」では,基本理念を,「難病の克服を目指し,難病の患者がその社会参加の機会が確保されること及び地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生すること」(第2条)と示され,医療,介護,福祉を包括した総合的な支援の必要性が継承され,難病医療ネットワーク作りが進められている.このなかで,リハビリテーション専門職の役割はどのように考えられているだろうか?
難病相談ガイドブック改訂第2版(厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業の難病医療資源の地域ギャップ解消をめざした難病医療専門員のニーズ調査と難病医療専門員ガイドブックの作成研究班作成)の中で,リハビリテーション専門職の役割を紹介する記述の部分では,機能維持,生活上の課題が生じたときの対応を支援する職種という内容で示されている.1982年に示された国連の「障害者に関する世界行動計画」のなかで,「リハビリテーションとは,身体的,精神的かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることによって,各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し,かつ時間を限定したプロセスである」と定義されている.前述のリハビリテーション専門職の役割の記述を読むと,まだまだリハビリテーション専門職の役割が浸透していないことを感じる.
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