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はじめに
日本理学療法士協会では,科学的な根拠に基づく理学療法の実践をめざして,2011年10月に「理学療法診療ガイドライン第1版(担当理事 日本理学療法士協会副会長 内山 靖先生,理学療法診療ガイドライン部会長 鈴木重行先生)」を発行した1).網羅した内容は,背部痛,腰椎椎間板ヘルニア,膝前十字靱帯損傷,肩関節周囲炎,変形性膝関節症,脳卒中,脊髄損傷,パーキンソン病,脳性麻痺,糖尿病,心大血管疾患,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD),身体的虚弱(高齢者),下肢切断,地域理学療法,徒手的理学療法という理学療法の臨床に基づいた16疾患・領域である.そのうち運動器理学療法に関連するのは,背部痛(班長 鈴木重行先生),腰椎椎間板ヘルニア(班長 伊藤俊一先生),膝前十字靱帯損傷(班長 川島敏生先生),肩関節周囲炎(班長 立花 孝先生),変形性膝関節症(班長 木藤伸宏先生)の5疾患であった.
この第1版のガイドラインは,第1章「はじめに」,第2章「参考としたガイドライン,引用したデータベース」,第3章「理学療法評価(指標)の推奨グレード」,第4章「理学療法介入の推奨グレードとエビデンスレベル」,第5章「現状と展望」,そして用語とアブストラクトテーブルという共通した内容で構成された.
本稿では,まず「理学療法診療ガイドライン第1版」における運動器5疾患の理学療法ガイドラインのうち,理学療法介入の推奨グレードとエビデンスレベルについて説明する.そして,筆者がガイドライン・用語策定委員会委員長を務め,2019年6月発行を目標に作成準備が進められている「理学療法ガイドライン第2版」に収載される予定の頸部機能障害(班長 山内正雄先生),背部機能障害(班長 佐伯武士先生),肩関節機能障害(肩関節周囲炎,班長 村木孝行先生),肘関節機能障害(班長 横山茂樹先生),手関節・手指機能障害(班長 河西理恵先生),股関節機能障害(班長 対馬栄輝先生),膝関節機能障害(班長 赤坂清和),足関節・足部機能障害(班長 石田和宏先生)の運動器疾患8領域のガイドラインの構成について説明する.
なお,推奨グレードは,公益社団法人日本理学療法士協会ガイドライン特別委員会理学療法診療ガイドライン部会にて策定した規準により決められた(表1).また,理学療法介入のエビデンスレベルは,「Minds診療ガイドライン作成の手引き2007」2)に準じて決められた(表2).
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