Japanese
English
特集 重度障害者のリハビリテーション
医学的リハビリテーション
リハビリテーション目標の設定と機能訓練
神経難病
Intractable Neurological Diseases.
山口 明
1
,
大仲 功一
1
,
出倉 庸子
1
,
山勝 裕久
2
Akira Yamaguchi
1
,
Koichi Ohnaka
1
,
Youko Dekura
1
,
Hirohisa Yamakatsu
2
1国立精神・神経センター武蔵病院理学診療科
2群馬大学付属医療技術短期大学部
1Department of Rehabilitation, National Center Hospital for Mental, Nervous and Muscular Disorders, National Center for Neurology and Psychiatry
2School of Allied Medical Sciences, Gunma University
キーワード:
多発性硬化症
,
錐体外路疾患
,
進行性筋ジストロフィー症
,
筋萎縮性側索硬化症
Keyword:
多発性硬化症
,
錐体外路疾患
,
進行性筋ジストロフィー症
,
筋萎縮性側索硬化症
pp.917-922
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107726
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はじめに
従来,神経・筋の難病疾患の医療は診断的関心のほうが断然強く,実際の治療においては積極的な対応を欠いてきたといっても過言ではあるまい.とりわけ進行性であることが明確な疾患においてはしばしば虚無的にならざるを得なかった.原因や治療法が解明されていないということのほかに,多くは障害が重複的で重症なことからケアの度合いが大きく,わが国の貧しい福祉社会のなかにあっては本人・家族にかかる経済的,社会生活上の負担は過酷で不安も大である.難病とは二重三重の意味でリハビリテーション医療の進展が困難な病気といえる.しかし近年,保健所などの積極的な取り組みもあり,患者会などで交流される療養上の知識も豊かとなって,より活発な,生きがいのある地域生活を求める動きが大きくなっている.
そこで,これらの経験をもとにいくつかの神経・筋難病疾患についてその医学的リハビリテーションについて述べたい.一般的にはリハビリテーションの目標・対応は以下のようになろう.1)疾病の進行によって,主にdisabilityのレベルの変化に伴って再検討していかなくてはならないこと.多くの例で複数回の入退院を繰り返すので,障害の再評価,集中的訓練プログラム,家族指導が適宜行われること.2)リハビリテーションは全身的管理・治療と並行して行われること.3)在宅ケアに関する家族指導がより重要性を増すこと.特に,誤嚥時の処置法・吸引法,体位交換,経管栄養食に関すること,胃チューブの挿入の仕方,バルーンカテーテルの管理法,排泄,褥瘡などである.
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