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はじめに
わが国は少子高齢化が進展し,世界に先駆けて超高齢社会を迎えている.団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には,65歳以上の高齢者数が約750万人増加し,2010年からの15年間で社会全体の高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)が23%から30%に上昇すると予測されている(図1)1).2025年には,65歳以上の高齢者1名を20〜64歳の1.8名で支える社会構造になると想定される.介護職員の不足や介護現場の負担増加,介護離職者の増加等の問題が深刻化している.
「未来投資戦略2017—Society5.0の実現に向けた改革」2)の中で,健康・医療・介護分野においては,「技術革新を活用し,健康管理と病気・介護予防,自立支援に軸足を置いた,新しい健康・医療・介護システムの構築」が挙げられている.介護に関する具体的施策としては,「④ 自立支援・重篤化防止に向けた科学的介護の実現」,「⑤ ロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性向上」が提言されている.さらに「未来投資戦略2018—「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革」3)においても,次世代ヘルスケア・システムの構築に関する具体的施策として「効率的・効果的で質の高い医療・介護の提供,地域包括ケアに関わる多職種の連携推進」が掲げられている.
ロボット介護機器あるいは介護ロボットは,ロボット技術(センサー技術,アクチュエータ技術,制御技術など)を利用した機器と定義し,経済産業省と厚生労働省は共同で「ロボット技術の介護利用における重点分野」4)(図2)を定め,ロボット介護機器の開発支援と介護現場での実証・モニター評価を実施してきた.未来投資戦略2017による議論を踏まえて2017年10月に重点分野を改訂し,高齢者の自立した生活の支援や生活の質の維持・向上と,介護負担軽減・介護業務の効率化を図るため,重点分野Cの4分野5項目を新規に追加した.
経済産業省と厚生労働省は,ロボット介護機器の開発と普及促進に関する支援事業について連携を図りながら進めている(図3).それぞれの支援事業について後段に紹介する.
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