Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
上林暁の『歩行練習』—当事者主体のリハビリテーション
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1068
発行日 2015年11月10日
Published Date 2015/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200428
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昭和27年に上林暁が発表した『歩行練習』(『上林暁全集第15巻』,筑摩書房)は,その年の正月に「軽い脳溢血」で倒れた上林のおよそ半年後の状況や,その中で彼が試みている運動療法の様子を書いた作品である.
この作品の冒頭,「私は目下,歩行の練習中である」と書く上林は,現在も脳卒中の後遺症で,「左脚のすねから下がまだ痺れているので,脚力が十分でない」状態にある.体力的には相当歩けるのではないかとも思われるが,「外を歩いていても,直ぐ不安になって来て,家に帰りたくなる」.
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