とびら
暁のランニング
荒木 茂
1
1石川県リハビリテーションセンター
pp.873
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101049
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ずいぶん昔であるが,新米自衛官が腰痛で来院したことがあった.当時はまだ上官の“しごき”がひどかったようで,同じ班の同僚がへまをすると,班全員が連帯責任でしごかれたそうである.いろいろなしごきがあるらしいが,一番きついのが「暁のランニング」だという.これは上官が「よし」と言うまで延々とランニングをさせられるもので,いつ終わるかわからない.後1周かもしれないし,100周かもしれない.ゴールのないランニングは拷問のようなものだそうだ.
私たち理学療法士は,無意識のうちに患者さんや実習生に「暁のランニング」をやらせてはいないだろうか.人は後10周とか,後10分とかゴールを示されるとがんばれるものである.特に最近の実習生は,昔とは違いゴールのないレポートに多大な時間を費やしているようである.担当患者さんはわずか2~3人で,病院ではほとんどレポートを書いていると聞くと,病院実習はずいぶん様変わりしたと感じる.
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