- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
関節リウマチの治療において,生物学的製剤や免疫抑制剤の導入による薬物療法のパラ ダイムシフトが早期治療介入を可能にし,関節破壊を防止することができるようになった1). この変革に伴い,リハビリテーションでは予防的な介入が重要視されるようになった.し かし,当院ではマンパワーの問題があり,外来リウマチ患者へのリハビリは実施できてい なかった.そこで,当院の外来リウマチ患者100名を対象にアンケートを取った.その結 果,生活に困りごとを抱えている患者が大勢いることがわかり,2017年から外来リウマ チ患者を対象に3つの取り組みを開始した.
1つ目は「外来リウマチ2回限定作業療法」で,機能回復訓練のリハビリではなく,生活 上の困りごとに対して自助具の紹介,動作方法の工夫や助言を主に行う2回限定の外来リ ハである.2つ目は「待合室での啓発ポスターとチラシの設置」である.受診の待ち時間に 目を通せるように関節保護の啓発や,自助具・福祉用具の紹介ポスターを外来待合室に掲 示したり,リウマチ通信というチラシを作成し,自由に持ち帰ることができるようにして いる.3つ目は「リウマチサロン」で,年に2回の頻度でリウマチ患者に集まってもらい, 小集団への情報提供と,ピアサポートの場を提供している.限られた時間と人員のなかで これら3つの取り組みを行うことで,患者教育や予防的なリハビリテーションにも力を入 れることができた.このような取り組みによりリハビリテーションの必要性を感じていな い患者にも,幅広く適切な患者教育やリハビリテーションを提供し,関節リウマチ患者の 生活の質(quality of life:QOL)の向上に寄与できていると考える.今回は当院の特徴的 な取り組みである「リウマチサロン」の内容や得られた学びについて紹介する.
Copyright© 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.