Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
上林暁の『病友』—脳卒中患者の当事者活動
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1114
発行日 2018年11月10日
Published Date 2018/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201486
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昭和28年に発表された『病友』(『上林暁全集第10巻』,筑摩書房)の中で,前年に50歳で脳卒中を患った上林暁は,同じ脳卒中仲間の友人との交友を描いている.
近所の酒屋,虎屋の主人は,主人公よりも9か月前に発症した先輩格の患者だが,主人公が「僕は相変らず煙草がやめられませんでねえ」と言うと,「それだけは,やめた方がいいと思うがなア」と煙草の害を指摘するだけでなく,「散歩はいいですよ.是非散歩はおしなさい」と,散歩の効用を説くなど,医学的にも理に適った助言をする.虎屋自身,脳卒中後は,それまで大好きだった酒も煙草も絶つという生活を送っていたのである.
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