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はじめに
ADLはリハビリテーション医学において中心課題の一つとされており,さまざまな評価法がある1).近年,米国で開発されたFunctional Independence Measure(FIM)が国際的な評価法として広く用いられており,妥当性,信頼性も数多く検討されている2-5).しかし,FIMを含めたADL評価は,あくまでも生活を送るうえで基本的に必要な動作(活動)からなり,比較的難易度の低い課題から構成されているために,天井効果と呼ばれる問題が生じる1).また,ADL評価におけるADL自立とは保護された環境下での自立を意味し,必ずしも在宅での自立した社会生活が可能を意味しない.そのため,在宅での社会参加などを考慮する際にはInstrumental ADL(IADL)の評価が必要になる.また,高齢者の場合には認知面での能力低下が重要になってくる.
Functional Assessment Measure(FAM)はFIM 18項目にあらたに12項目を追加したもので,当初は頭部外傷患者における能力低下評価法としてHallらにより作成された6).採点方法はFIMと同様の7段階評価を用いており,その特徴は,FIMにさらに認知機能や,社会生活を送る際に必要な項目を追加した点である(図1).FAM運動項目はFIM運動項目13項目とFAM固有運動項目3項目からなり,FAM認知項目はFIM認知項目5項目とFAM固有認知項目9項目から構成されている.
実際の在宅の生活においては,外出に際し,車に乗り移ることや,公共の輸送機関の利用が必要とされたり,家人が買い物などで外出する際に一人でいられるかどうかが問題となる.また,頭部外傷に限らず,高齢者や痴呆,脳血管障害患者においても認知機能が重要な影響を与えている.そのためFAMの評価項目は頭部外傷患者だけでなく,IADL評価法として広く用いることが可能と考えられる.
われわれはHallらの承諾を得て,FAM日本語版を作成し,ADL,IADL評価に用い,その妥当性と有用性を検討したので報告する.
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