Japanese
English
特集 切断と義肢―最新の臨床
最近の話題
Amputation and prosthesis, the latest topics.
幸野 秀志
1
,
陳 隆明
2
Hideshi Kohno
1
,
Takaaki Chin
2
1兵庫県立リハビリテーション中央病院整形外科
2兵庫県立リハビリテーション中央病院ロボットリハビリテーションセンター
1Department of Orthopedic Surgery, Hyogo Rehabilitation Center
2Robot Rehabilitation Center, Hyogo Rehabilitation Center
キーワード:
末梢血管障害
,
シリコンライナー
,
断端ケア
,
コンピュータ制御膝継手
Keyword:
末梢血管障害
,
シリコンライナー
,
断端ケア
,
コンピュータ制御膝継手
pp.517-523
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110137
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下肢切断の疫学
1.切断原因の変遷
この20年間において,日本における下肢切断の原因は大きく様変わりしてきた.外傷や腫瘍による切断は減少し,閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)や糖尿病に起因した末梢循環障害による切断が増加している.日本においては,下肢切断の原因について全国的に行った調査はないが,これまでに,陳らが兵庫県下(神戸市を除く)について行った調査1),林らが大阪府下で行った調査2)や,さらに長島らの行った岡山県下での調査3)が散見される.最近ではOhmineらによる北九州市における疫学調査4)や,樫本の宮城県下での調査5)が報告されている.これらの報告をまとめると,日本における下肢切断の原因は60%以上が末梢循環障害である.そしてそのほとんどがASOと糖尿病である.この傾向はほかのアジア諸国においても同様である.台湾の調査によれば,切断原因の72%は末梢循環障害であり,切断者の平均年齢は60.7歳であった6).香港における調査では,切断原因の63.6%は末梢循環障害であり,切断者の平均年齢は74.1歳であった7).
欧米の文献によると,下肢切断の70%は65歳以上の年齢で起こっており8),高齢人口における切断原因の90%は末梢循環障害である8,9).日本ではすでに高齢化社会に直面しており,65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は2050年には30%を超えるとの試算がある.65歳以上の人口が25%を超える兵庫県淡路島における橋本の調査10)では,切断原因の85.7%が末梢循環障害であり,欧米並みになってきていると言える.
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