特集 重症下肢虚血と理学療法
重症下肢虚血による下腿切断後の義足処方とリハビリテーション
陳 隆明
1
Takaaki Chin
1
1兵庫県立リハビリテーション中央病院リハビリテーション科
キーワード:
末梢循環障害
,
下腿切断
,
断端ケア
,
リハビリテーション
Keyword:
末梢循環障害
,
下腿切断
,
断端ケア
,
リハビリテーション
pp.819-825
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200652
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はじめに
下肢切断の原因の多くが下肢末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)と糖尿病に起因したものであり,今後われわれが対峙すべきリハビリテーション対象者である切断者の大多数が高齢者である.一方では,重症下肢虚血に対する各診療科の枠を越えた集学的治療への関心の高まりと必要性や重要性の認識から,血行再建術とそれに伴う足部創傷治療が積極的に実施されるようになった.さらに,切断者の機能予後における膝関節温存の重要性が広く認識されるようになった結果,下肢大切断における下腿切断数の増加がもたらされている.
このような好ましい傾向があるにもかかわらず,依然として下腿切断においてもリハビリテーション成功率は低いという現状が存在する.今日における義肢テクノロジーの著しい進歩の産物としてさまざまな高機能の義肢パーツが利用可能である事実と皮肉にも矛盾する結果である.ハード面だけでは必ずしもPAD起因の下肢切断者の機能改善はもたらされない証である.ソフト面である切断後の断端ケアを取り入れた切断者の包括的リハビリテーションマネジメントの戦略を見直し,確立に向けて取り組む時期にきていると考える.
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