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pp.33-35
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201734
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麻酔銃
さきごろ,福岡県の大牟田で,動物園のおりから,トラが暴れ出し,死傷者を出して大さわぎになつた事件があつた.この時も,狩猟家や警察が銃やピストルをかまえて,射殺したが,何しろ猛獣達は遠い外国から買い入れたもので,むざむざ射ち殺すのも勿体ないし,そのまま放つておく事も勿論出来ない.アメリカではこのような時に,動物を生けどりにする目的で,麻酔銃を使つている.
現代的な麻酔学は,特に手術中,患者の骨骼筋を弛緩させる為に,種々の筋弛緩剤を使つているが,これも,もとは南米の土人が,毒矢にぬつて使つたクラレの研究から端を発した薬物である.麻酔銃は,特別な注射器を,銃に装テンして,火薬の力で動物の体に打ちこむもので,南米土人のアイデイアそのままである.これは,動物ばかりでなく,凶悪な犯人の逮捕の時にも使えそうなものだ.
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