Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ヘッセの『老齢について』―高齢者の使命
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.1076
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109360
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1952年に発表された『老齢について』(岡田朝雄訳,草思社)には,当時75歳になっていたヘッセの老人観が示されている.
このエッセイの中で,ヘッセはまず,老人には「老人の存在に意義を与える使命」があるとして,「ベッドに寝ていて,この世からの呼びかけがもうほとんど届かない重病人や,瀕死の人も,彼の使命をもち,重要なこと,必要なことを遂行しなければならない」と,病者や障害者にも,彼らなりの使命や責務があるという考えを述べる.そのうえでヘッセは,「老人として自分の目的を果たし,自分の使命に恥じない行為をするためには,老齢と,それに必然的に伴うすべてのものを受け入れなくてはならない」と,自らの老いを受容することが重要であると主張するのである.
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