Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
芸術療法家としてのヘッセ
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.468
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109768
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ヘッセ(1877~1962)は,生涯に数千枚の水彩画やペン画を描いたというが,彼の絵画には,自らの精神的な危機に対する芸術療法的な意味が含まれていたように思われる.
高橋健二氏の『ヘッセ―思い出の詩人画家』(主婦の友社,1977)によれば,ヘッセが本格的に水彩画を描くようになったのは1919年,南スイスのモンタニョーラに移ってからのことである.この頃のヘッセは,妻を精神病院に入院させ,自らもユング派の医師による精神分析を受けるなど,精神的に追い詰められた状況にあったが,ルガノ湖を見下ろす風光明媚なこの地に転居した彼は,幼い頃親しんでいた絵筆を再び取りはじめたのである.
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