Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ヘッセの『知と愛』—ペストの恐怖と人間の恐怖
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.702
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201998
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1930年に発表されたヘッセの『知と愛』(高橋健二訳,新潮社)には,中世におけるペスト禍を描いたペスト文学という側面も認められる.
修道院を出て放浪の旅に出たゴルトムントが,途中で知り合ったローベルトとある村の近くにやってくると,棒や鞭で武装した農民たちが二人を迎えた.しかも一団の指揮者は,遠くから「たった今引き返せ,二度と出てこぬよう,とっとと逃げてうせろ,でないと,たたき殺すぞ」と怒鳴ったのである.
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