Japanese
English
研究と報告
運動失調の機能障害評価票作成について
Ataxia Rating Scale: Study of Standardization.
小林 宏高
1
,
高塚 博
1
,
佐鹿 博信
1
,
根本 明宜
2
,
水落 和也
2
,
安藤 徳彦
2
,
水島 春朔
3
,
杤久保 修
3
Hirotaka Kobayashi
1
,
Hiroshi Takatsuka
1
,
Hironobu Sashika
1
,
Akinobu Nemoto
2
,
Kazuya Mizuochi
2
,
Norihiko Ando
2
,
Shunsaku Mizushima
3
,
Osamu Tochikubo
3
1横浜市立脳血管医療センターリハビリテーション科
2横浜市立大学医学部附属病院リハビリテーション科
3横浜市立大学医学部公衆衛生学教室
1Department of Rehabilitation, Yokohama Stroke and Brain Center
2Department of Rehabilitation, Yokohama City University, School of Medicine
3Department of Public Health, Yokohama City University, School of Medicine
キーワード:
運動失調
,
評価
,
検者内信頼性
,
機能障害
Keyword:
運動失調
,
評価
,
検者内信頼性
,
機能障害
pp.573-578
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109253
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はじめに
運動失調に対する診断学,治療学などにおける研究業績は,遺伝性脊髄小脳変性症の原因遺伝子解明をはじめとし,高い成果が得られている.しかしながら,リハビリテーション医学の立場から運動失調に対処するためには,障害の階層概念で客観的,定量的に把握できる共通の評価尺度が必要である.つまり運動失調をdisabilityのレベルで扱うのならADLの評価方法があればそれで十分といえるが,impairmentのレベルで改善あるいは低下の程度を量的に把握するためには,impairmentのレベルでの評価方法が是非とも必要である.
しかし,運動失調を呈する原因疾患および病巣局在は多様であり,それに伴う障害像も単純ではない.したがって,評価方法を考える際には,これらすべての疾患に基づく機能障害の要素を網羅的にとらえる必要がある.
すでに,運動失調に対する定量的測定方法については,重心動揺計を用いたもの1)や3次元動作解析装置を用いたもの2)など,数多く報告がされている.これらの測定機器を用いて行う分析は,非常に高い精度を持つ点で,障害を運動学的に追求して改善策を検討する,あるいは治療効果を判定するための基礎資料を得るためには大きな利点を持っているといえる.しかし,日常の診療場面で臨床的評価を行うためには,これらの複雑な測定機器を用いること自体が欠点になってしまう.
そこでわれわれは,臨床の場で特別な器具を用いなくとも検査可能な運動失調の評価票を作成し,標準化することを目的として本研究を計画した.今回,評価票の作成および信頼性検討の一部を行ったので報告する.
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