Japanese
English
特集 失調症
運動失調症の評価法
Ataxia: Symptoms and Their Evaluations.
別府 宏圀
1
,
原山 尋実
2
,
須田 南美
1
,
田中 励作
3
Hirokuni Beppu
1
,
Hiromi Harayama
2
,
Minami Suda
1
,
Reisaku Tanaka
3
1東京都立神経病院神経内科
2新潟大学脳研究所神経内科
3東京都神経科学総合研究所病態神経生理学部門
1Tokyo Metropolitan Neurological Hospital.
2Department of Neurology, Brain Research Institute, Niigata University.
3Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences.
キーワード:
運動失調
,
視標追跡
,
重心動揺
Keyword:
運動失調
,
視標追跡
,
重心動揺
pp.665-672
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105658
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
運動失調ataxiaとは随意運動の協調不全incoordination of movement,すなわち必要とされる運動を正確に出力出来ない不安定な運動活動をいう4).運動失調は神経組織内における障害の部位の相違により
(a)小脳性失調症
(b)知覚性失調症(脊髄癆型運動失調症)
(c)前庭迷路性失調症
の3種類に大別されており,その臨床的特徴にも各々差がある.運動失調の診断にあたっては,定性的および定量的の二つの側面に常に考慮を払わなければならない.すなわち,失調をもたらす疾患が上のどのカテゴリーに属するかと判断し,その上でその重症度を判定することが重要である.運動失調の評価は当然のことながら運動を負荷しその反応動作を観察することにより行われる.日常見られる運動はその形態から随意運動と姿勢の保持に大別される10).従って,その検査も両者の特徴を充分生かして行う必要がある.
ここでは,最初に運動失調症各群の臨床的特徴について概観し,次いでその定量的評価法の例として我々が現在用いている視標追跡運動(随意運動機能)および重心動揺(姿勢保持機能)による評価を紹介し,最後にこれらに含まれる問題点を考えてみたい.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.