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はじめに
脳卒中患者に対するリハビリテーションを行うにあたり,患者の障害を正確に把握することは必要不可欠である.国際障害分類1)(International classification of impairments,disabilities and handicaps;ICIDH)によると,脳卒中患者の運動障害,感覚障害,失語症,拘縮などは機能障害impairmentに分類され,食事や更衣,歩行などの日常生活動作(activities of daily living;ADL)の障害は能力低下disabilityに分類される.国際障害分類改定版2)(International classification of functioning,disability and health;ICF)では,機能障害impairmentは心身機能・構造body function & structureに,能力低下disabilityは活動activityに改定されたが,本章では便宜上,機能障害,能力低下の記述を使用する.
系統だった能力低下の評価法にはBarthel index3)や機能的自立度評価法4,5)(Functional independence measure;FIM)などがあり,実際に脳卒中リハビリテーションの現場で使用されている.特にFIMは,セルフケア,移動,排泄などの従来から評価されてきた項目だけでなく,コミュニケーションや社会的認知能力などの項目を含み,脳卒中患者の能力低下を十分に評価可能なものである.
これに対して機能障害評価法は運動麻痺を測定するBrunnstrom stage6)や総合的なFugl-Meyer scale7),National Institute of Health(NIH)scale8,9)(表1),Canadian neurological scale(CNS)10)(図1)などが考案されているが,痙縮や拘縮,健側の機能障害などリハビリテーションの臨床や研究に必要な項目が含まれておらず,十分に活用されているとは言いがたい.
本稿では脳卒中の包括的機能障害評価の目的や問題点に言及するとともに,最近開発された評価法についてStroke impairment assessment set(SIAS)11)を中心に述べる.
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