Japanese
English
研究と報告
高齢者における転倒恐怖
Fear of Falling among Elderly Persons.
近藤 敏
1
,
宮前 珠子
2
,
石橋 陽子
2
,
堤 文生
3
Satoshi Kondo
1
,
Tamako Miyamae
2
,
Yohko Ishibashi
2
,
Fumio Tsutsumi
3
1広島大学大学院医学系研究科
2広島大学医学部保健学科
3九州リハビリテーション大学校
1Hiroshima University Graduate School of Medical Science
2Faculty of Health Science, Hiroshima University School of Medicine
3Kyushu College of Rehabilitation
キーワード:
転倒恐怖
,
転倒
,
高齢者
Keyword:
転倒恐怖
,
転倒
,
高齢者
pp.775-780
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109037
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はじめに
高齢者が寝たきりになる直接の原因の一つに大腿骨頸部骨折がある.この骨折の76.1%は転倒によるとされている1).転倒の原因は,個人の心身状態に責任の所在を求める内的要因と,生活環境にそれを求める外的要因に分けられる.近年,この内的要因のなかで,転倒に対する恐怖感,すなわち「転倒恐怖」が注目されている2).高齢者の転倒恐怖は日常生活活動を制限し,生活の質を低下させるばかりか,転倒恐怖をもつこと自体が転倒の危険因子として問題視され始めている3-4).Tinetti5)は,転倒恐怖は「身体の遂行能力が残されているにもかかわらず,移動や位置の変化を求められる活動に対してもつ永続した恐れ」と定義している.諸外国では,転倒恐怖が1980年代後半から問題にされている2-5)が,わが国では話題にされておらず,作業療法の領域でも扱われていない.
この研究の目的は,①わが国の高齢者の転倒恐怖の発生状況を知ること,②転倒恐怖をもつことが転倒の原因となっているかどうか確認すること,③転倒恐怖に影響する要因は何かを探ることである.
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