連載 印象に残ったリハビリテーション事例
高齢者の転倒と非骨傷性頸髄損傷
住田 幹男
1
1愛仁会リハビリテーション病院
キーワード:
転倒
,
高齢者
,
脊損
Keyword:
転倒
,
高齢者
,
脊損
pp.909-911
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102215
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ある晩突然
遅めの夕食を終えて一服していると,突然電話が鳴った.出てみると懐かしいM君の声だった.困った様子である.「実は今,救急病院に親父のことで呼び出されて主治医の説明を受けたところなんだ.親父は2年前に母親を亡くしてから独り住まいで,ときどき姉が面倒をみに行っていたんだが,今日自転車に乗っていて,人を避けようとして転倒したみたいなんだ.頭の傷は大したことはないが,手足が動かなくなって,頸椎の4番のところがやられているというんだ.手術をするかどうか決断して欲しいと説明されて,子どもたちが集まって相談していたんだが,83歳という年齢だけに今さら手術もという思いが強くて,君に相談したいと思って…….持病に高血圧と軽い糖尿病があって以前から近所の内科医に自分で通っていたんだが.」
最近,高齢者の頸髄損傷が増加してきている.排尿はどうかと聞いてみると,「出しにくいが,出そうと思えば出せるらしい.医者も完全麻痺ではないと言ってくれている.手術で治る確率は50%と言われている.」とのことであった.
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