Japanese
English
研究と報告
半側視空間無視患者の音の方向覚
Sound Localization in Patients with Visual Hemispatial Neglect.
榊原 美紀
1,2
,
園田 茂
1
,
森 光代
1
,
山本 純子
1
,
谷川 正浩
1
,
増田 直美
1
,
永田 悦子
1
,
杉野 悦子
1
,
可部 実由紀
1
Miki Sakakibara
1,2
,
Shigeru Sonoda
1
,
Mitsuyo Mori
1
,
Junko Yamamoto
1
,
Masahiro Tanikawa
1
,
Naomi Masuda
1
,
Etsuko Nagata
1
,
Etsuko Sugino
1
,
Miyuki Kabe
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
2千葉県医療技術大学校作業療法学科
1Keio University Tsukigase Rehabilitation Center
キーワード:
音の方向覚
,
脳血管障害
,
半側視空間無視
Keyword:
音の方向覚
,
脳血管障害
,
半側視空間無視
pp.769-774
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109036
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はじめに
半側無視は損傷半球の反対側の空間に位置する刺激に気づかない現象を指している.その刺激は視覚性のみならず,聴覚性,体性感覚性などいろいろである.
半側視空間無視患者が麻痺側からの呼びかけなどの聴覚刺激に対して反応を示さない現象は,臨床上よく観察される.Werthは聴覚刺激に対する不注意を以下の3つに区別している1).(1)一側の空間半側に提示された音刺激に反応しない.(2)両側同時刺激における消去現象.(3)一側の空間半側に提示した音刺激を反対側の空間半側に移して定位してしまう.
聴空間知覚の障害は「音源定位能力」の障害として捉えることができる2).検査法には,患者の傍で指を鳴らしその指をつかませる方法2),無響室で多数置かれたスピーカーのどれが鳴っているかをあてる方法3-5),ヘッドホンで人工的に方向感のある音を呈示する方法6-8)がある.左半側無視患者は左聴野において正答率が低い5),右半球損傷患者では音が右側にずれて知覚される6,8),と報告されているが,視空間無視と聴空間の無視との関係はいまだ不明な点が多い.
われわれは新しい音方向覚定位システムを用いて左片麻痺患者の音の方向覚を調べ,半側視空間無視の有無による差異,および半側視空間無視と音の方向覚との関連に注目して検討したので報告する.
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