Japanese
English
研究と報告
高齢者における食後低血圧と転倒との関連
Association between postprandial hypotension and fall in the elderly.
森下 将多
1
,
山﨑 香織
1
,
島岡 秀奉
1
,
岡崎 りさ子
1
,
藤本 弘昭
1
Shota Morishita
1
,
Kaori Yamasaki
1
,
Hidetomo Shimaoka
1
,
Risako Okazaki
1
,
Hiroaki Fujimoto
1
1特定医療法人仁生会細木病院
1Health Care System JINSEIKAI Hosogi Hospital
キーワード:
食後低血圧
,
起立性低血圧
,
運動機能
,
転倒
,
高齢者
Keyword:
食後低血圧
,
起立性低血圧
,
運動機能
,
転倒
,
高齢者
pp.59-64
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200113
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要旨 [目的]高齢者の転倒原因には,食後低血圧(post-prandial hypotension;PPH)・起立性低血圧(orthostatic hypotension;OH)による低血圧症状がある.今回,PPH・OHの発生状況と運動機能・転倒との関連について調査した.[対象]整形外科疾患を有し,当院に入院中の独歩または補助具を使用して屋内自立歩行が可能で,認知症を呈していない65歳以上の高齢者50名(転倒群27名,非転倒群23名)とした.[方法]5m歩行時間とFRT(Functional Reach Test)を活動時間帯(食後1.5時間以上)に測定した.そして,朝食前(覚醒後1時間以上)と朝食後(食後35〜60分以内)に座位での血圧・脈拍測定,立位での血圧・脈拍・FRTの5項目を3回測定した.[結果]対象者全体のFRTの平均値は活動時間帯と比較して食前後で有意に低下が認められ,収縮期血圧(systolic blood pressure;SBP)の平均値では食前座位時と比較して食前立位・食後で有意に低下が認められた.転倒群と非転倒群での比較では,年齢・5m歩行時間・FRTで有意差が認められたが,血圧・脈拍では有意差は認められなかった.PPH・OH徴候がみられた割合は全体で54.0%(転倒群で63.0%・非転倒群で43.5%)であった.[結語]本研究から,PPH・OH徴候のある高齢者は比較的多く,特に高齢で運動機能の低下がある転倒群においては非常に高い割合でみられた.しかし,自覚症状は特になく症状と一致しないことが多くあり,高齢者にPPH・OHが潜在している可能性が示唆された.
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