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はじめに
WHOの国際障害分類(ICIDH)によると,社会的不利は「機能障害あるいは能力低下の結果としてその個人に生じた不利益であって,その個人にとって(年齢,性,社会・文化的諸因子からみて)正常な役割を果たすことを制限あるいは妨げるものである」と定義されている1,2).運動機能障害者のリハビリテーション・ゴールは,しばしば,自立した生産的な一員として地域社会(community)に再統合されながら,さまざまな社会的活動に復帰すること3)であり,社会的不利を改善することが主要な目標のひとつであるとされる.したがって,リハビリテーションの結果(outcome)の測定やプログラムの評価には,社会的不利の程度を記述する方法が必要であるが,わが国において普遍的な評価法はまだ十分に確立されていない.
Craig Handicap Assessment and Reporting Technique(以下,CHARTと略)3,4)は,Whiteneckらによって開発された簡便で客観的な社会的不利の測定法である.この測定法は,米国ではCommunity Integration Questionnaire(CIQ)などとともに標準的な社会的不利の評価法として位置づけられており5),脊髄損傷患者や脳卒中患者に対する信頼性や妥当性が確認され,社会的不利の測定法として有用であることが報告されている6,7).
そこで今回,われわれはCHARTを原文に忠実に日本語訳し,わが国の脳卒中患者に応用するために以下の予備的検討を行ったので,CHARTの概要とともに紹介する.
なお,予備的研究の目的は,(1)CHARTを用いて在宅生活を送っている脳卒中患者の社会的不利の概要を明らかにすること,(2)退院時の機能障害や能力低下の程度と退院後の社会的不利との関係について検討すること,の2点である.
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